SpaceX(SPCX)がNASDAQ上場——史上最大のIPOが完了
2026年6月12日、SpaceX(ティッカー:SPCX)がNASDAQ Global Select Marketに上場しました。公募価格$135、調達額750億ドル(約11.9兆円)、時価総額1.77兆ドル(約281兆円)——全てが史上最大です。
CNBCのライブ報道によると、初値(寄り付き)は$155前後で形成され、公募価格$135から約15〜27%の上昇でスタートしました。事前のインディケーション(取引所からの板寄せ情報)では$172が示されていましたが、実際の寄り付きはやや落ち着いた水準となりました。
本記事では、上場初日の詳細、今後の需給を左右するロックアップ解除スケジュール、そして投資家が警戒すべき「暴落注意タイミング」を完全整理します。
上場の基本データ完全まとめ
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| ティッカー | SPCX |
| 上場市場 | NASDAQ Global Select Market |
| 上場日 | 2026年6月12日(金) |
| 公募価格 | $135 |
| 初値(寄り付き) | 約$155(公募比+15%) |
| 発行株数 | 5億5,556万株 |
| 調達額 | 750億ドル(約11.9兆円) |
| 時価総額 | 1.77兆ドル(約281兆円) |
| フロート(流通株比率) | 約4.2% |
| オーバーサブスクリプション | 3.5〜4倍 |
| リテール枠 | 全体の30%(通常の3倍) |
| NISA対応 | 成長投資枠で購入可能 |
| 主幹事 | Goldman Sachs, Morgan Stanley, BofA, Citi, JPMorgan |
| 日本国内取扱 | SBI証券、楽天証券、みずほ証券(米国みずほ経由) |
なぜ初値が5から大きく跳ねなかったのか
事前予想との乖離
IPO前の予想では「初値$200〜$300」という声も多かったですが、実際は$155前後と比較的控えめな上昇に留まりました。これには構造的な理由があります。
①調達額750億ドルという「重さ」
過去の大型IPOと比較すると、SpaceXの調達規模がいかに巨大かが分かります。
| 企業 | IPO調達額 | 初日上昇率 |
|---|---|---|
| Saudi Aramco(2019) | 294億ドル | +10% |
| Alibaba(2014) | 250億ドル | +38% |
| Meta/Facebook(2012) | 160億ドル | +0.6% |
| SpaceX(2026) | 750億ドル | +15〜27% |
調達額が大きいほど初日の「ポップ」は小さくなる傾向があります。750億ドルという巨額を吸収しながら15%以上上昇したこと自体が、需要の強さを示しているとも言えます。
②リテール枠30%の影響
SpaceXはリテール(個人投資家)に全体の30%を配分しました。通常の大型IPO(10%程度)の3倍です。個人投資家は初日に「IPO取得分を利確する」傾向が強く、初日の売り圧力がやや大きくなった可能性があります。
③Morningstarの「適正」レポートの影響
IPO直前のMorningstarによる「適正価値は$63、公募価格の半値」というレポートが広く報道され、一部の機関投資家が慎重姿勢になった可能性があります。
今後の需給動向——鍵を握る3つの要因
要因①:NASDAQ-100インデックス組み入れ(上場後15日〜)
NASDAQのルール変更により、SpaceXは上場後わずか15日(6月27日前後)でNASDAQ-100指数に組み入れられる可能性があります。
- QQQ等のNASDAQ-100連動ファンド:約70億ドルの強制買い(1日で)
- QQQ+Russell 1000連動の合計:220〜270億ドルの強制買い
- フロートに対する割合:30%超がパッシブファンドに吸い上げられる
この「強制買い」は株価の強力な下支え要因であり、上場後2〜3週間は需給が極めてタイトな状態が続く可能性があります。
要因②:機関投資家の「FOMO買い」
SpaceXが時価総額1.77兆ドルの巨大企業として市場に登場したことで、SpaceXを保有していないファンドマネージャーは「持たざるリスク」に直面します。ベンチマーク指数にSpaceXが含まれれば、持っていないだけでアンダーパフォームする可能性があるため、初日に買えなかった機関投資家が追加購入する動きが予想されます。
要因③:ロックアップ解除——最大の売り圧力
一方、最大のリスク要因がロックアップの段階的解除です。SpaceXは従来の「180日一律ロックアップ」ではなく、革新的な段階的ロックアップを採用しています。
ロックアップ解除スケジュール——完全版
Morningstar、CNBC、Darrow Wealth Managementの分析を基に、完全なロックアップ解除スケジュールを整理します。
| イベント | 推定時期 | 解除割合 | 累計解除 | リスク度 |
|---|---|---|---|---|
| IPO(上場日) | 6月12日 | 0%(新規配分のみ) | 4.2%(フロート) | — |
| Q2決算発表後 | 7月下旬〜8月初旬 | 保有株の20% | — | ★★★★★ |
| パフォーマンス条件付き追加* | Q2決算後 | 最大+10% | — | ★★★★ |
| IPO後70日 | 8月21日頃 | 7% | — | ★★★ |
| IPO後90日 | 9月10日頃 | 7% | — | ★★★ |
| IPO後105日 | 9月25日頃 | 7% | — | ★★☆ |
| IPO後120日 | 10月10日頃 | 7% | — | ★★☆ |
| IPO後135日 | 10月25日頃 | 7% | — | ★★☆ |
| Q3決算発表後 | 10月下旬〜11月 | 28% | — | ★★★★★ |
| IPO後180日 | 12月9日頃 | 残り全て | 100% | ★★★★ |
*パフォーマンス条件:Q2決算発表後10営業日のうち5日間で、株価がIPO価格の130%(=$175.50)以上で取引された場合、追加で10%解除
「9回の解除イベント」が12ヶ月に分散
Binanceの分析が指摘するように、SpaceXの設計は供給を9回の個別イベントに分散させることで、一度に大量の売りが出る従来型IPOの弱点を回避しています。しかし、累計のロックアップ解除量は市場史上最大であり、軽視すべきではありません。
暴落注意タイミング——警戒すべき5つの日程
🚨 警戒度★★★★★:Q2決算発表後(7月下旬〜8月初旬)
最大の暴落リスクポイントです。既存株主が保有株の20%を一気に売却可能になります。Founders Fund、Sequoia Capital、Alphabet、Fidelityなどの初期投資家にとって、SpaceXは数十倍〜数百倍のリターンを生んでいる投資であり、利確の誘惑は極めて大きいです。
さらに、パフォーマンス条件(株価が$175.50以上を5日間維持)を満たしている場合、追加で10%も解除されるため、合計30%もの既存株が市場に放出される可能性があります。
重要:急落は「解除日」ではなく「解除の1〜2週間前」に始まる傾向があります。市場参加者が先回りして売るためです。7月中旬からポジションを軽くすることを検討すべきです。
🚨 警戒度★★★★★:Q3決算発表後(10月下旬〜11月)
Q3決算後に追加で28%が解除されます。これはQ2決算後に続く2回目の大型解除であり、ここまでに累計で既存株主の半分以上が売却可能になります。
加えて、この時期はAnthropic(10月予定)とOpenAI(9月予定)のIPOと重なります。投資家がSpaceXから新しいIPOに資金を移す「ローテーション」が起きやすく、売り圧力+資金流出のダブルパンチになるリスクがあります。
⚠️ 警戒度★★★:8月21日〜10月25日(70〜135日の段階解除)
7%ずつ5回にわたって解除が続きます。個別の解除量は小さいものの、「常に次の売りが控えている」というセンチメントが株価の重しになります。特に8月下旬〜9月は夏枯れ相場と重なり、流動性が低下するタイミングでの解除となります。
⚠️ 警戒度★★★:12月9日頃(180日・完全解除)
全ての残存ロックアップが解除される最終日。ここまでに段階的に解除が進んでいるため、実際の売り圧力はQ2・Q3決算後ほどではない可能性がありますが、心理的な節目として警戒が必要です。
SPV投資家の「見えないリスク」
TechCrunchが報じた重要な点として、SPV(Special Purpose Vehicle)経由でSpaceXに投資していた投資家は、自分の正確な持ち株数をロックアップ解除まで確認できないという問題があります。
SPV投資家はSpaceXの株式を間接的に保有しており、最終的な配分はIPO後の精算プロセスで確定します。このため、ロックアップ解除時に「想定以上の売りが出る」可能性も排除できません。
投資戦略——タイムフレーム別の考え方
短期(〜7月中旬):インデックス組み入れまでは追い風
- NASDAQ-100組み入れ(6月27日頃)まではパッシブ買いの追い風
- $150〜$180のレンジで推移する可能性
- 7月中旬までに利確を検討(Q2決算前に売り逃げ圧力が高まる前)
中期(7〜10月):ロックアップ解除の荒波
- Q2決算後の急落を想定し、押し目買いのチャンスを待つ
- $100〜$120レベルまでの調整も視野に
- Anthropic/OpenAI IPOとの資金争奪に注意
長期(2027年〜):ロックアップ完全解除後
- 全ての売り圧力が織り込まれた後が真の「長期投資」のエントリーポイント
- Starlinkの成長と黒字化がバリュエーションの鍵
- Morningstarの適正$63は保守的すぎる可能性もあるが、$135は楽観的すぎる可能性もある
次のIPO——Anthropic・OpenAIのスケジュール
SpaceXの次に控える巨大IPOは以下の2社です。
| 企業 | S-1提出 | 上場予定 | バリュエーション | ステータス |
|---|---|---|---|---|
| OpenAI | 6月8日(機密) | 9月〜Q4 | 8,520億〜1兆ドル | Goldman/Morgan Stanley主幹事 |
| Anthropic | 6月1日(機密) | 10月 | 9,650億ドル | Wilson Sonsini法務 |
いずれもS-1は機密扱いで提出済みですが、正式な上場日・申込期間はまだ発表されていません。SpaceXの申込期間がわずか7日間だったことを考えると、発表されてから動いては間に合わない可能性が高いです。
まとめ:SpaceX上場後の投資家チェックリスト
- 初値は約$155——公募比+15%で公募割れは回避。需要の強さを確認
- 6月27日頃:NASDAQ-100組み入れ——$70億超の強制買いが下支え
- 7月中旬:利確検討ライン——Q2決算前にポジション軽減を検討
- 7月下旬〜8月:最大の暴落リスク——既存株主の20%(+10%)解除。先回り売り注意
- 8〜10月:段階的に7%ずつ解除——継続的な売り圧力+Anthropic/OpenAI IPOへの資金流出
- 10月下旬:Q3決算後28%解除——2回目の大型解除。年内最後の急落リスク
- 12月9日:完全解除——ここを過ぎれば需給が安定
SpaceXのロックアップ解除日程、そしてAnthropic・OpenAIのIPO正式発表——これらの「日付」が株価を動かす最大の材料です。次の巨大IPOを逃さないために、正確なスケジュールをリアルタイムで把握しておきましょう。
※本記事は2026年6月13日時点の情報に基づいています。株価・IPOスケジュールは常に変動しており、OpenAI・AnthropicのIPO日程は未確定です。投資判断は自己責任でお願いいたします。



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