【2026年5月】カルビーがポテトチップスを白黒パッケージに変更!ナフサ不足が食品業界を直撃する理由を徹底解説

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カルビーが主力14商品のパッケージを「白黒」に――何が起きているのか

2026年5月12日、カルビーは衝撃的な発表を行いました。「ポテトチップス」「かっぱえびせん」「フルグラ」など主力14商品のパッケージを、従来のカラフルな多色印刷から白黒2色に変更するというのです。

5月25日の出荷分から順次切り替えが始まり、全国のスーパーやコンビニの棚に白黒のポテトチップスが並ぶことになります。あのおなじみのオレンジ色の「うすしお味」も、コンソメパンチの赤と黄色のデザインも、一時的にモノクロに変わります。

味・価格・内容量には一切変更はありません。変わるのはパッケージの「見た目」だけです。では、なぜこのような異例の対応が必要になったのでしょうか。

白黒パッケージの対象となる14商品一覧

カルビーが公式に発表した対象商品は以下の通りです。

ポテトチップスシリーズ

  • ポテトチップス うすしお味(55g / 70g / 160g)
  • ポテトチップス コンソメパンチ(55g / 160g)
  • ポテトチップス コンソメWパンチ(61g)
  • ポテトチップス のりしお(55g / 70g / 160g)

その他の主力商品

  • 堅あげポテト うすしお味(65g)
  • 堅あげポテト ブラックペッパー(65g)
  • かっぱえびせん(77g)
  • フルグラ(330g / 700g)

いずれも日本の家庭でおなじみのロングセラー商品ばかりです。カルビーが「安定供給を最優先する」と判断した結果、パッケージデザインを簡素化してでも商品を届け続ける道を選んだことがわかります。

原因は「ナフサ不足」――ホルムズ海峡封鎖の連鎖的影響

この白黒パッケージの背景にあるのが、ナフサ(粗製ガソリン)の深刻な供給不足です。

ナフサとは何か

ナフサとは、原油を蒸留・精製する過程で得られる沸点30〜180℃の石油留分です。一般消費者にはなじみが薄い名前ですが、実はプラスチック、合成ゴム、合成繊維、塗料、医薬品、そして印刷インクなど、現代社会を支えるほぼすべての化学製品の「出発原料」となる重要な物質です。

日本はこのナフサの約74%を中東からの輸入に依存しています。原油には約250日分の国家備蓄がありますが、ナフサには国家備蓄制度がなく、民間在庫はわずか約20日分しかありません。

ホルムズ海峡封鎖が引き金に

2026年2月28日、米国とイスラエルによるイランへの軍事攻撃を契機に、ホルムズ海峡が事実上の封鎖状態に陥りました。世界の石油輸出の約3割がこの海峡を通過しており、封鎖の影響は甚大です。

ナフサの市況はわずか2週間で1トンあたり600ドル台後半から1,100ドル前後へと急騰。日本の石油化学コンビナートは減産を余儀なくされ、その影響はプラスチック、塗料、そして印刷インクへと波及しました。

なぜ「印刷インク」が不足するのか――技術的な理由

「ポテチの袋の色と石油に何の関係が?」と思われる方も多いでしょう。実は、食品パッケージの印刷には複雑な化学製品のサプライチェーンが関わっています。

グラビア印刷とナフサの関係

コンビニやスーパーで手に取るスナック菓子の袋は、「グラビア印刷(軟包装グラビア印刷)」という方式で印刷されています。この印刷に使われるインクは主に以下の成分で構成されます。

  • 着色材(顔料):色をつける成分
  • ワニス(樹脂+溶剤):顔料をフィルムに定着させる
  • 添加剤:乾燥性や光沢を調整

このうち、赤・青・黄・緑といった鮮やかな色を出す顔料は「アゾ系顔料」と呼ばれる有機顔料で、ナフサを原料とする石油化学製品から合成されます。さらに、カラー印刷では大量の有機溶剤も必要です。これもナフサ由来です。

なぜ白黒ならOKなのか

ここがポイントです。白インクと黒インクは、カラーインクとは原料が根本的に異なります。

  • 白インクの顔料は「酸化チタン」。これは鉱物由来の無機顔料で、石油(ナフサ)への依存度が低い
  • 黒インクの顔料は「カーボンブラック」。調達経路が多様で在庫確保が比較的容易

つまり、印刷を2色に絞ることで、ナフサ由来の有機顔料と溶剤の使用量を大幅に削減できるのです。カルビーの判断は、限られた資源の中で商品供給を止めないための合理的な選択でした。

カルビーだけではない――食品業界全体に広がる影響

この動きはカルビーだけにとどまりません。

伊藤ハム米久ホールディングスの浦田寛之社長は決算発表会で「今後、カラフルなパッケージは難しくなる。白黒などシンプルな包装になる可能性がある」と発言。日本経済新聞も「インク不足で伊藤ハムも検討」と報じています。

帝国データバンクの調査によると、化学製品メーカー52社から直接・間接的に仕入れる製造業は全国で約4万7,000社にのぼります。これは集計可能な製造業全体の約3割にあたり、ナフサ関連製品の調達リスクが日本の製造業全体に広がっていることを示しています。

今後、以下のような業界への波及が予想されます。

  • 湖池屋、山芳製菓、東ハトなど他のスナックメーカー
  • 乾麺、調味料、加工食品など食品全般
  • 洗剤やシャンプーなど日用品メーカー
  • プラスチック容器を使うあらゆる業界

消費者への影響は「見た目」だけではない

「パッケージが白黒になるだけなら大したことない」と思うかもしれません。しかし、影響はそれだけにとどまりません。

1. 売り場での視認性低下

白黒パッケージでは「どれがうすしお味で、どれがコンソメパンチか」が一目でわかりにくくなります。特に高齢者や子どもにとっては、買い間違いのリスクが高まります。SNSでは「遺影みたい」「葬式パッケージ」といった声も上がっています。

2. 新商品の発売延期・中止

カルビーは2026年7月に予定していた「サワークリーム風味」の新発売を中止したと報じられています。新商品のパッケージデザインにはカラー印刷が不可欠であり、インク不足が商品開発にもブレーキをかけている形です。

3. 物価上昇への波及

ナフサ不足は印刷インクだけでなく、食品包装用のプラスチックフィルム自体のコスト上昇にも直結します。原材料費の上昇は最終的に商品価格に転嫁される可能性が高く、今後さらなる食品値上げの波が来ることも十分に考えられます。

政府の対応と今後の見通し

佐藤副官房長官は記者会見で、印刷インク原材料の不足について「企業と意思疎通を図っている」と述べましたが、具体的な支援策には踏み込んでいません。

専門家の間では「白黒パッケージは序章にすぎない」との見方もあります。ビジネスジャーナルの報道によると、インクだけでなく接着剤の枯渇も懸念されており、包装そのものが成り立たなくなるリスクすら指摘されています。

ホルムズ海峡の情勢が改善しない限り、ナフサ供給の正常化は見通せません。食品業界の白黒パッケージ化は、少なくとも2026年後半まで続く可能性が高いでしょう。

まとめ:ポテチの袋が教えてくれる「物価の未来」

カルビーのポテトチップスが白黒パッケージになるというニュースは、単なる「見た目の問題」ではありません。その背景には、ホルムズ海峡封鎖 → ナフサ不足 → 石油化学製品の供給不安 → 印刷インク不足 → パッケージ変更という、グローバルなサプライチェーンの連鎖的な影響があります。

そして、この影響は食品パッケージにとどまらず、私たちの日常生活のあらゆる場面での「値上げ」として表れてきます。食品、日用品、住宅資材、医療機器――ナフサ由来の製品は身の回りにあふれているからです。

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